【シータンとソータンのものがたり】みんなの“すき”を大事にするシータンとソータン
シータンとソータンは大のなかよし。いつもいっしょに すごしています。
ときにはケンカすることもあるけれど、それは おたがいを しんじているから。
「ソータンはピンクがすき!」「シータンはミドリのほうがすき!」
そんなふうに 言いたいことを言い合って、さいごには「どっちもいいね!」と わらい合う、しあわせなまいにちを 送っています。
ある日、ふたりが ひなたぼっこを していると……。
「そうだんしたいことがあるの」
そう言って、オハナヒメがやってきました。
「そうだんってなあに?」
「うん……。わたし、おひめさまだから、いつも おしとやかにしていなきゃいけない、かわいくしなきゃいけないって 思ってたんだけど……。なんだか 少し つかれてきちゃったの。いつも言いたいことを言い合って 楽しそうにしているふたりが うらやましいな……」
それを聞いて、シータンとソータンはびっくり!
「え? なんでオハナヒメは、おひめさまは いつもおしとやかにしていなきゃいけないって 思いこんでいるの?」
「どうして おひめさまだと かわいくしなきゃいけないの?」
そういって、ふたりともふしぎそうに首をかしげています。
「走りたいときは 走っていいし、おこりたいときは おこったっていい。ムリしておしとやかにしたり、かわいくしたりする ひつようは ないんだよ。みんながどう思うかじゃなくて、自分がどうしたいかを大切にしなくっちゃ」
「そうだよ! だって、オハナヒメはオハナヒメなんだから!」
「わたしは、わたし……?」
オハナヒメの顔が、ぱあっと明るくなりました。
「そうね! わたし、本当はかっこいい おようふくも 大すきなの。食べることも大すきだし、うごき回ることも大すき! おひめさまだから、女の子だから、いつもかわいく わらっていなきゃいけないと思っていたけれど、それは かってな思いこみだったのかもしれないな……。ありがとう、シータン、ソータン!」
それからのオハナヒメは、きものではなく ようふくをきてみたり、友だちと思いっきり外を走り回ったりと元気いっぱい! コックーのおいしいおりょうりを 思うぞんぶん食べることもふえました。
「あ! オハナヒメ! 今日はかっこいいねー!」
「ふふふ、ありがとう。シータン、ソータン!」
オハナヒメは前よりもうんとしあわせそう。そんなオハナヒメを見て、シータンとソータン、そしてみらいたうんのなかまたちは、さらにハッピーなきもちになりました。